日本の海老食文化
Japanese Shrimp Culture
美食の国「日本」の伝統的な食文化と新しい食文化の創造を考えて
季節ごとの行事食には、おめでたい海老が多く使われています。
日本海老協会では、日々の食卓も海老で明るく彩られるよう、
EverydayEbiday「毎日が海老の日」を提唱しています。
おめでた祈願海老年始1月1日〜15日
海老は目玉が飛び出していることから「目出たし(めでたし)」とされ、茹でると紅白の縞模様が美しいため、縁起の良いご馳走として愛されています。髭が長く腰が曲がっている姿はご長寿の象徴でもあります。お正月のお節料理では車海老、甘海老、赤海老、牡丹海老などの赤い海老で新年を寿ぎ、皆の長寿を祈願します。また、大安吉日、一粒万倍日などの縁起担ぎの際にも用いられています。
恵方海老天巻き節分2月3日
節分とは「季節を分ける」ことです。季節の変わり目に邪気(鬼)が生じる(≒体調を崩しやすい)との考えから、その邪気(鬼)を除くための悪霊祓いが行われてきました。節分の恵方巻きの風習は「福を巻き込む」「縁を切らない」という意味を込め恵方に向かって巻き寿司を丸かぶりする風習です。恵方海老天巻きは、長寿の象徴の海老の天ぷらを具に入れ、健康長寿の願いが天まで届くように願いながら、各年の恵方に向かって丸ごと一本にかぶりついて食べます。
海老ちらし寿司桃の節句3月3日
3月3日は女の子の節句。昔から桃には邪気を払う力があるとされ様々な神事に取り入れられていたので、邪気祓いをする上巳の節句が桃の節供になったのです。中国では桃は不老長寿を与える植物とされ、百歳(ももとせ)まで長生きできるよう、桃の節句には桃花酒を飲む風習もありました。桃の花をイメージさせるピンク色のむき海老を贅沢にちらして、食卓を華やかに彩り、家族みんなが百歳まで美しく元気に長生きできるように祈願します。
海老さくら祭り桜まつり4月
April(4月)は、愛と美の女神ウェヌスが由来です。偕老(海老)洞穴とは、海綿の仲間で、その外見の美しさからVenus Flower Basket(ヴィーナスの花籠)と言われます。日本の花といえば桜です。海老さくら祭りは、花籠の花を桜に譬え、お花見で美しい桜を見ながら美味しい海老を食べる日です。
立身出世海老端午の節句5月5日
5月5日の端午の節句は、男の子の幸せや健やかな成長を祈って、鯉のぼりや五月人形(鎧、兜、武者)を飾ります。鯉のぼりは、子どもが逆境に耐え、立派な人になるようにと立身出世を願う飾りです。鯉が急流をさかのぼり、竜門という滝を登ると竜になって天に登るという中国の伝説(「登竜門」の由来)にちなみます。海老は、トゲのある硬い甲羅が命を守る鎧に見立てられ、戦国武将の膳に欠かせない御目出度い食材でした。立身出世海老は、男の子の栄達と健康と願って食べるご馳走です。
父上海老父の日6月第3日曜日
父の日は、父に感謝の気持ちをあらわす日です。良質で栄養に富む美味しいエビで日々忙しく奮闘して仕事をしている父をもてなします。特に、伊勢海老は、赤く燃えるような甲冑が立派で、父への感謝を込めるのに最適です。
海老フライ海の日7月第3月曜日
日本は、四方を海に囲まれた「海洋国家」。「海の日」は、1996年に「海洋国家として広く国民に海への理解と関心を求める日」として祝日になりました。海の日には、美味しい海老フライを食べ、海の恵みに感謝しましょう。
感謝海老お盆8月13日〜15日
お盆は、先祖の霊が現世に戻り、再びあの世に帰えるのを見送る先祖供養の儀式。日本古来の信仰と仏教が結びついた行事です。ご先祖様も好んた海老を家族みんなで食べて子孫繁栄を願いましょう。
海老ウィーク敬老の日9月第3月曜日(海老の日)
敬老の日(海老の日)は、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日です。海老は、髭が長く腰が曲がっていることから、長寿の象徴です。家族の健康と長寿を願う「海老の日」祭りで、食卓を笑顔にしましょう。
衣替え海老衣替えの日10月1日
四季のある日本では、学生や企業の制服(夏服、冬服など)を変える衣替えがあります。暑い夏に来た衣服の汗や汚れをしっかりと落として仕舞いクローゼットを整理整頓し、冬の訪れのための準備をすることで、一年を快適に過ごすための風習です。海老衣替えの日は、殻を剥き、新たに衣を着せた海老天ぷらを食べ、心機一転爽やかな秋の訪れを歓迎し快適に過ごす日です。剥いた殻も素揚げにして美味しくいただきましょう。
海老ハートいい夫婦の日11月22日
コミュニケーションが苦手だと言われる日本人の「夫婦」がお互いに感謝の気持ちをかたちにするきっかけを作る日。日頃パートナーに伝えられない「ありがとう」や「愛してる」の気持ちを形にしましょう。偕老(海老)同穴:生きてはともに老い、死しては同じ穴に葬られる意味で、海老で夫婦仲睦まじく連れ添うことを願う日。
年忘れ海老忘年会12月31日
忘年会は日本独特の行事。その起源は、鎌倉時代の貴族や武士などが厳かに行っていた連歌会「年忘れ」で、現在では、年内の苦労を忘れてリフレッシュするための年末恒例の宴会です。宗教的な意味付けや特定の行事様式のない日本の風俗の一種です。海老は成長するために、古い硬い殻を脱ぎます(脱皮)。寄せ鍋や、グリル料理、海老チリなど、忘年会の宴会で海老を食べ、古くなったモノ、硬い考え方などから脱却して、新しいスタート(年)を迎えるようにしましょう。
海老の5大シンボル
Five major symbols of Shrimp
結婚式やお祝い事などの料理には必ずと言っていいほど、
「海老」の料理があります。皆さんお気づきでしたか?
古くからめでたいときに食べられ、日本人が食を楽しむ文化として発展させてきた
行事食である海老には5つの象徴があります。
1.長寿の象徴
「エビ」の長い髭、腰の曲がった姿は、長寿の相をもつ老人に見えます。平安時代には「海」の「老」ということで「海老(えび)」の字が当てられたようです(和名類聚抄)。「海老」の字から「海の翁」(翁は男の老人の敬称)とも詠まれます(能宣集)。
2.めでたさの象徴
「めでたい」は賞賛するという意味の「愛づ」の連用形「めで」に、甚し(いたし=程度が甚だしい)がくっついて短くなった言葉です。古くは、すばらしい、見事だ、立派だという意味合いの言葉でしたが、現在は、丁寧語の「お」をつけて「おめでたい」「おめでとう」と、お祝いの気持ちを示すことが多いです。「海老」は目玉が飛び出し、茹でると真っ赤になることから、「目出度さ(めでたさ)」の象徴とされています。
3.運気の強さの象徴
「海老」は威勢よく跳ね上がる力が強いので、運気の強さの象徴とされています。海老のとげのある固い甲が武将の鎧を連想させるうえに、茹でると色が 赤色になるところから、海老は名だたる戦国武将たちの祝い膳として 食されていました!戦国時代から海老は強運を招きよせ、さらに不老長寿をもたらす 食事として考えられており、織田信長や豊臣秀吉の膳にも海老料理を きちっと並べられていたそうです。
4.永遠の若さの象徴
「海老」の殻は、固いというイメージがあると思います。「海老」は、殻が古く(固く)なると、その殻を脱いで脱皮することで、柔軟に一回り大きく成長します。幼生や稚エビは、1~2日おきに脱皮し、成長するにつれて脱皮の間隔が長くなります。「海老」は、春夏秋冬、際限なく脱ぎ続け、決して凝り固まらない、常に柔軟に保つ弾力性に富んだ生き物だったのです。「老いた体を脱ぎ捨て若返る」+「固まらない」=「永遠の若さの象徴」として、海老料理は、おめでたい席にうってつけです。
5.生命力の象徴
人間は体の中に骨があります(内骨格)。節足動物である甲殻類の海老は、皮膚に骨格が形成されます(外骨格)。脱皮を繰り返して成長する海老は、若返り、生命の復活、死からの再生、不老不死など、強い生命力の象徴とされます。海老のように、固くなった殻を破り、いつまでも柔軟な姿勢でいたいものです。皆さんもEveryday Ebidayで、柔らかくなっていきましょう!
海老の豆知識
Shrimp Tribits
エビ(十脚足(エビ目)Decapodaに属する動物のうち、ヤドカリ下目とカニ下目を除いた分類郡の総称、和名:海老・蝦、英名:Lobster,Prawn,Srimp)をご紹介します。和名の「えび」はその色が葡萄に似ていることから付けられたもので、現在でも「葡萄色」と書いて「えびいろ」とも読まれます。
漢字については、イセエビ等の海底を歩行する大型のエビを「海老」、サクラエビ等の海中を泳ぐ小型のエビを「蝦」と書くとも言われていますが、厳密なものではありません。英語では大きさで呼び方が異なり、イセエビ程度をLobster、クルマエビ程度をPrawn(英)、小さいエビをShrimpと呼びます。なお、カブトエビ、ホウネンエビ、カイエビ、ヨコエビ、シャコ、オキアミ、カブトガニ等は、 名前に「エビ」が付いていたり、姿形が似ていますが、エビ目ではありません。活きエビの体表を覆う殻には、蛋白質と結合したカロチノイドの一種である「アスタキサンチン」という赤い色素が含まれていますが、結合状態では赤くなれず、緑、紫、褐色等様々な色をしています。しかし、加熱すると蛋白質との結合が切断され、きれいな赤色になります。エビは、河川から深海まであらゆる水環境に世界中で約2,500種以上も生息し、そのほとんどが食用にされますが、豊かな国において大量消費される傾向が強く、日本では1990年代前半には 国民一人当たりで年間約3kgを消費し、世界第1位の消費量でした。その後、消費量は徐々に減少し、現在は年間約2kg強程度になっています。一方、エビは食物アレルギーを起こしやすいこともあって、平成20年度には製品を販売する際に 原材料表示が義務づけられる様になりました。
(公益財団法人海洋生物環境研究所より転載)
https://www.kaiseiken.or.jp/umimame/umimame42.html
すごい海老について
Amazing Shrimps
魚のお世話をしているエビがいる
クリーナーシュリンプと呼ばれる51種のエビがいます。魚の体表や鰓、口の中にまで入って、魚がケガをした部分や食べ残しを食べます。これが魚のケガの治療やハミガキになります。魚は、ケガをするとクリーナーシュリンプのいる場所まで行き、体を暗い色に変えます。クリーナーシュリンプは魚に向かって長い触角を振ります。こうして、ケガの治療やハミガキをおたがいに了解することで、クリーナーシュリンプは魚に食べられずに「お世話」をしています。魚にとって、お医者さん、歯医者さんのようですね。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
時速100キロ以上の4400℃(溶岩の約4倍)のプラズマ衝撃波を放つエビがいる
400種ほどいるテッポウエビ。体の半分くらいの巨大なハサミを「パチン!」と強く閉じて気泡を出し、エモノとなる小さなエビなどを倒します。
ハサミを開いて小さなスペースに水を入れ、勢いよく閉じる圧力で水を噴射させて気泡を出します。気泡は時速100キロ以上の速さでエモノに向かいます。銃声よりも大きい約218デシベルの音(スナップ音)が1秒くらい鳴ります。気泡が弾けると溶岩の約4倍の4400℃もの熱も出ますが、効果は狙ったエモノだけで、すぐに消えます。しかも、テッポウエビは自分の眼はヘルメットで守りつつ、小さな穴から水を出して衝撃波を和らげています。「かめはめ波」「波動拳」「武装色の覇気」のような必殺技は本当にあります。ただし、テッポウエビがこの技を習得するための進化には、1億5000万年ほどかかったようです。 修行は大変です。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
サンゴの赤ちゃんを呼び寄せるエビがいる
テッポウエビの「パチン!」というスナップ音は、サンゴの赤ちゃんにとっては、道しるべのようなものです。サンゴの赤ちゃんは、満月の前後の月夜にいっせいに生み出されます。そのままでは海で迷子になってしまいますが、サンゴの赤ちゃんは、「パチン!」というテッポウエビのスナップ音を頼りに、サンゴ礁を探し出して自ら泳いで戻ってきています。サンゴ礁を守るためにも、テッポウエビを大切にしてあげてください。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
牧畜しているエビがいる
クリーナーシュリンプの中には、イソギンチャクと一緒に住んで共生している種類がいます。クリーナーシュリンプはイソギンチャクに守られつつ、食べ物の一部をイソギンチャクにあげています。持ちつ持たれつの良い関係ですね。イソギンチャクの天敵は海毛虫で、イソギンチャクが海毛虫に食べられてしまうと、クリーナーシュリンプも家を失ってどこかへ行ってしまいます。テッポウエビには、イソギンチャクのそばに穴を掘って住んでいるものがいます。クリーナーシュリンプをエモノにし、海毛虫を追い払ってイソギンチャクを守ります。テッポウエビは、イソギンチャク(クリーナーシュリンプの家)を守り、自分のエモノ(クリーナーシュリンプ)が十分にある状態を維持しようとしています。これは、私たち人間が野山を整え、羊を放牧して食料などにする牧畜に似ていませんか。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
人間が化石燃料を燃やすと調子が悪くなるエビがいる
海は、大気中に出された二酸化炭素の3分の1を吸収していますが、産業革命以降、海の水素イオン濃度(ph)はすでに0.1低下し、酸性化に向かっています。海水が酸性化するとテッポウエビの「パチン!」の回数が減るという研究結果があります。海に吸収される二酸化炭素がさらに増えていくと、ますます海は酸性化し、テッポウエビの調子も悪くなってしまいます。テッポウエビの「パチン!」が減ると、サンゴの赤ちゃんが迷子になりやすくなってしまい、サンゴ礁も減ってしまいます。4cmほどのテッポウエビですが、いつまでも「パチン!」と元気にいてもらいたいですね。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
イセエビは貝を開けて食べるが、アメリカンロブスターはこなごなに割って食べる
イセエビとアメリカンロブスター。同じ歩く大型の(とても美味しい)エビですが、キャラクターはかなり違うようです。イセエビは、とても器用で、生きた貝を殻付きで与えると、胸脚をうまく使って貝を持ち上げ、口の周りにある顎脚を使って中身を舐めつくすようにしてキレイに食べます。一方、アメリカンロブスターは、巨大なハサミを使って硬い殻をこなごなに割ってから貝の身を食べます。どちらも同じ歩く大型の(とても美味しい)エビですが、頑張って生きています。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
片道最長800キロ(往復1600キロ)を泳いで渡りをするエビがいる
コウライエビ(大正エビ)は、秋になると越冬のために済州島の辺りまで泳ぎます。そして、春になると産卵のため渤海湾まで泳ぎます。 その最長距離は、片道800キロ、往復では1600キロにもなります。海水温に応じて渡りをする習性となったのち、数十万年前の気候変動で渤海の海水温が下がってしまったために、長距離の渡りをしなければならなくなったようです。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
オスからメスに変わるエビがいる
2500種以上いるといわれるエビですが、そのうち30種はオスからメスに変わります。メスからオスに変わるエビはいません。不思議ですね。ホッコクアカエビ(甘エビ)、ボタンエビはお寿司のネタとしてもおなじみですが、オスからメスに変わるエビです。最初の数年間はオスとして生活し、その後の数年間はメスとして生きていきます。同じ年に生まれたエビ同士では交配せずに、別の年に生まれた者同士のパートナーとすることで、違った親から生まれたオスとメスで交配する機会を増やし、遺伝子の多様性を広げようとしているようです。また、幼いオスの時代には小さな精子を作り、大きくなってからメスに変わって大きな卵子を作ることで、無理なく効率よく合理的に子孫を残そうとしています。
【参考文献】矢野勲著「エビはすごい カニもすごい」
海老のことわざ
Ebi Proverb
「海老」の文字は、海の老人を意味する当て字で、平安時代にはすでに使われていました。
日本では、古くからおせち料理など、吉兆や縁起の良いとされ、ことわざにも登場する人気食材です。
数ある海老のことわざの中で、特に面白いモノをご紹介いたします。
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海老で鯛を釣る
海老を餌に鯛を釣ることから、わずかな努力や品物で、多くの利益を得ることのたとえ。
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鱧も一期、海老も一期
鱧も海老も一生を送ることに変わりはないことから、人の人生は貧富・賢愚・身分・境遇の違いはあっても、さしたる差はないというたとえ。
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海老食うたる報い
海老はおいしい。しかし、いつまでも食べられるとは限らないことから、良いこともあれば悪いこともあるというたとえ。
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海老と名のつく家老殿
海老のように外見はいかめしくいばっているが、器量が伴ってないこと。殻ばかりで、中身は大したことないもののたとえ。
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海老踊れども川を出でず
海老はどんなに踊り跳ねたところで、所詮は一生川から出られない意から、ものにはそれぞれ持って生まれた天分が定まっていて、それ以上のことはできないことのたとえ。
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鯨の喧嘩に海老の背中が割れる
クジラのような大きなもの同士のケンカには、近くにいた小さなエビは甲羅が裂けたりする。強い者同士の争いに弱い者が巻き添えを食って被害を受けるというたとえ。
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海老は小さくても海を渡る
小さい人に知恵者が多いことから、小さいものでもあなどってはいけないというたとえ。
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海老の鯛交じり
弱小なモノ(海老)が、強大なもの(海老)の中に入り交っていることから、不相応な場所に取るに足りない者が仲間入りしているというたとえ。
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海老(偕老)洞穴
生きては共に老い、死しては同じ穴に葬られる意味で、夫婦の仲むつまじく連れ添うことを指します。
海老を徹底解剖
Thoroughly Dussecting Shrimp
皆さんは海老の種類をあげてくださいと言われると、どの海老が浮かびますか?伊勢えび・クルマエビ・ブラックタイガー・アマ海老・・・。海老は現在分かっているだけで3000種もの種類が存在しているんです!その中で、近年(2014年)騒がれたのが「産地偽装」と「種類偽装」。ホテルや百貨店などで相次いで発覚した偽装問題ですが、その中で目立って多かったのが、「海老」の偽装です。
海老は茹でてしまうと赤くなり、素人ではとても判別できない食材のため、産地や種類を偽装した海老をぱっと見ても高級海老に見えてしまうわけです。
車海老とブラックタイガーの見分け方
海老は茹でると赤くなり、判断が難しいエビの種類ですが、実は生の状態ですと皮をむいた あとでも比較的に見分けることが出来ます! 産地偽装で多かったクルマエビとブラックタイガーも、生の状態だと一目瞭然です!
尻尾の部分をよーくご覧ください。 尾の先端が黄色とブルーの縞模様があるのが”クルマエビ”。ほぼ1色なのが”ブラックタイガー”です。 ご家庭でもエビフライを作るときなどに購入されるブラックタイガーですが、天然の ブラックタイガーは「シータイガー」と呼ばれ、実は高級品として扱われています!
バラエティ豊かな海老がたくさん
日本の海老の消費率はアメリカに次ぐ世界第2位(2002年測定データに基づく)です。 1997年から減少傾向にはありますが、まだまだ日本はEverydayEbidayの国です。
皆さんは「せみ」、「ぶどう」、「おに」、「うちわ」という言葉を聞いて何を想像しますか? 実はこの4語、全て海老の名前です!
一言で海老と言っても現在分かっているだけで約3000種もの海老が存在します。 曲がった海老の姿は同じでも、味は想像以上にとてもバラエティー豊かな食材です。 今回は日本で良く食される海老の味をご紹介いたします。
北海縞(しま)海老(ホッカイエビ)
全身が黄緑色と緑褐色の縦ジマ模様からシマエビの別名を持つ海老です。宮城県以北の北日本や日本海北部に生息し、7月を中心に、主にかご漁業により漁獲されます。
point味は海老と言うより蟹に近い味です。新鮮なものは茹でると縞模様を残したまま赤に変わります。
クロザコ海老(モサエビ、ホンサモなど)
日本海で漁獲されるどちらかというと地方的な海老で、関東ではあまり見かけない海老です。鳥取ではモサエビ、ホンモサなどと呼ばれています。
point野性味あふれる味で、とても濃厚な味です。アマエビを好むのが女性なら、コクがあるので男性向けの小海老です。
ヨシエビ(アキエビ、イシザキエビなど)
体長がオス150mm、メス180mmと大型の海老で日本でもよく食べられています。標準和名は各水域に生えるヨシという草に由来します。
point多獲される夏から秋にかけてが旬。臭みも感じず、旨みや歯ごたえだけを楽しめます。
蝉海老
見た目はとても独特で、体長も30cmと、とても大きな海老です。房総半島以南で見かけられますが、ほぼ日本では流通されない海老です。
pointこれぞ漁業人がお勧めする海老です!刺身は白身魚、塩焼きはイカやタコのような歯ごたえ!味の凝縮感は伊勢えび以上!
海老の機能性
Shrimp Functionality
海老(エビ)は何種類いるの?
私たちが普段何気なく食べている海老で思い付くのは、車海老、伊勢海老、芝海老、甘海老、ブラックタイガー海老、バナメイ海老・・・こんなところではないでしょうか。エビの仲間は世界中に約2,400種類が生息しており、そのうちの約180種類が商業的に漁獲されています。日本では、泳ぐ海老類約30種、歩く海老類約10種が漁獲されていますが、漁獲量が少ないため地元で消費され、殆どの種類は輸入されています。
海老の殻はたべたほうがいいの?
もちろん食べたほうが良いです。海老の殻には、動物性食物繊維=「キチン・キトサン」が豊富に含まれています。キチン・キトサンには、食事中のコレステロールの吸収を抑える効果があり、さらには血中の悪玉コレステロールを下げる作用があります。また、免疫活性作用、肥満防止、整腸作用があります。
海老(エビ)はなぜ赤いの?
海老の赤い色素は「アスタキサンチン」です。藻やコケに含まれるアスタキサンチンを、パワーの源として体内にため込み赤く発色します。特に大切な目に集中して、多くのアスタキサンチンが蓄えられています。近年では、アスタキサンチンは化粧品にも使われるほどのアンチエイジングの有効成分として注目されています。
アスタキサンチンの効果効能は何??
お肌のアンチエイジング効果
アスタキサンチンの強力な抗酸化力は、紫外線によるお肌の老化を防ぎます。そのお肌に対する効力はビタミンEの約25倍、ビタミンCの約90倍というデータがあるほどです。
脳機能を改善し、集中力を高める
記憶力の衰えや物忘れが気になる。集中力が続かなくなってきた。このような不安のある方に、脳機能を高める働きを持つことが分かってきています。
生活習慣病の予防と改善
アスタキサンチンを飲んだマウスは、飲まないマウスに比べて内臓脂肪は約27%、皮下脂肪は約39%の蓄積が抑えられました
内脂肪を減らす
アスタキサンチンを飲んだマウスは、飲まないマウスに比べて内臓脂肪は約27%、皮下脂肪は約39%の蓄積が抑えられました
体や目の疲労回復に役立つ
持久力を上げ、疲れにくくなります。これは、アスタキサンチンが筋肉の損傷の原因となる活性酸素を抑えるから。同様に目の疲れも抑え、眼精疲労の改善に役立ちます。
白エビはどうして赤くないの?
富山湾で漁獲される白エビは、透明感のある淡いピンク色の姿が美しいことから「富山湾の宝石」と呼ばれています。赤海老と対称に白いのは、餌となる海中の藻や植物プランクトンにアスタキサンチンが少ないために白いままになります。また、体が赤い甘えびの寿命は約10年に比べて白エビの寿命ははるかに短い2~3年ほどです。卵の数も甘えびとは、桁違いに少なくなります。アスタキサンチンのパワーは、寿命や生命力にも関わっています。
【豆知識】
私たちが普段よく食べている「鮭」が赤身の魚ではなく、白身魚であることをご存知ですか?
ではなぜ、白身魚が赤身になるかというと、海に出た鮭は小さなエビに似た形をしたオキアミなどの甲殻類動物性プランクトンを食べながら、寒い寒い海水の中を泳ぎながら逞しく成長します。産卵するために、生まれ育った河川の上流を目指して遡上のする際に、たくさんのパワーが必要となります。そのパワーの源が、身体に蓄えた赤い成分(=アスタキサンチン)です。産卵を終えた鮭の身は、鮮やかな紅色が色あせて、薄いピンク~真っ白になります。赤い色とのお別れがこの世のお別れということになるのです。
海老(エビ)は体にいいの?
海老は良質な動物性たんぱく質が豊富な一方で、低脂肪ということから「体に良い」と評判が高い食品です。カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラル類、ならびにビタミンE、タウリン、グリシンなどが多く含まれています。
海老(エビ)の栄養素はどんな機能性があるの?
アスタキサンチン
お肌に対する効力はビタミンEの約25倍、ビタミンCの約90倍、抗酸化力はなんと!!ビタミンEの500~1000倍と言われるほど強力な抗酸化力を持ち、免疫力を高めます。
コラーゲン
お肌の新陳代謝(ターンオーバー)を高めお肌の調子をととのえたり、関節や腱、靭帯を強くします。
タウリン
血中のコレステロールを減らし、脳内では神経伝達物質として作用し、交換神経を抑制し高血圧を改善します。
グリシン
美肌に必要な「コラーゲン」を構成する重要なアミノ酸
アルギニン
精力増強効果
アスパラギン酸
生体を維持するミネラル類を体の様々な部分に運ぶ
グルタミン酸
たんぱく質の合成や分解、他のアミノ酸への転換、尿素の結合など体内の生理現象に重要な働きを担う
ビタミンE
活性酸素を消去する抗酸化作用がある
亜鉛
皮膚や粘膜を作るコラーゲンの代謝を促し、たんぱく質を合成して皮膚や粘膜を新しく作り替える。
鉄
赤血球を作り、酸素を結合し運搬と貯蔵をする。
海老(エビ)はプリン体が多いの?
細胞の中の核酸を構成する成分で、ほとんどすべての食品に含まれ、細胞数の多い食品ほどプリン体の含有量が多いといえます。 そんなほぼ全ての食品に含まれるプリン体ですが、海老は下記の5段階のどの部類だと思いますか?
1.プリン体の極めて多い食品 100gあたり300㎎以上
2.プリン体の多い食品 100gあたり200~300㎎
3.プリン体のやや多い食品 100gあたり100~200㎎
4.プリン体のやや少ない食品 100gあたり50~100g
5.プリン体が極めて少ない食品 100gあたり50g以下
答えは3です。
1.クロレラ3183㎎、ビール酵母2996㎎、ロイヤルゼリー403㎎、干しシイタケ380㎎、鶏レバー312㎎など
2.豚レバー285㎎、牛レバー220㎎、カツオ211㎎、マイワシ210mg、マアジ(干物)246㎎など
3.車海老195㎎、芝海老144㎎、牡蠣185㎎、牛肉(心臓)185㎎、豚肉(肝臓)195㎎など
4.ほうれん草51㎎、マイタケ99㎎、カリフラワー57㎎、豆もやし57㎎、うなぎ92㎎など
5.玄米37㎎、白米26㎎、チーズ6㎎、数の子22㎎、オクラ40㎎、いくら4㎎など
このように数値に表わすと意外にもこの食品が!??と思われたのではないでしょうか?
ただこれは100gに含まれるプリン体の数値です。
食す固体重量がそれぞれ異なるため1回の食事の量で摂取できる量をイメージしてみてください。
プリン体が高いから食べられない、プリン体が少ないから取り入れるというのは一つの目安ではありますが、バランスが最も重要になります。過剰な取りすぎをしなければ体に害はありませんし、むしろその食材の他の栄養素とのトータルバランスを考えると素晴らしいタンパク源である可能性があります。
食事を美味しく楽しくするためにも、一番大切なのは身体が喜ぶバランス食だと考えます。