【解答】A:アスタキサンチン
エビを茹でるとどうして赤くなるのか
エビの色素はカロチノイド(Carotenoids)系色素のアスタキサンチン(Astaxanthine)を主として、その他数種のカロチノイドが含まれています。カロチノイドの結晶は深紅色のものが多いが、淡黄色、黄色、ダイダイ色から紅色に至る色を呈します。生きているエビの色は、アスタキサンチンとグロブリン蛋白が結合したクルスタシアニン(Crustacyanin)によるもので、緑、紫、褐色などさまざまな色合いとなります。これが加熱によって蛋白質は熱変性して、カロチノイドのアスタキサンチンとの結合が切断され、分離されます。そしてアスタキサンチンは酸化されてアスタシン(Astacene)となり、カロチノイド本来の色である黄色から赤色の色になるのです。(酒向昇 「えび 知識とノウハウ」より)
「えび 知識とノウハウ」という本は1979年発刊されたもので、上記のような説明をずっと信じてきましたが、1999年発刊の「食材魚貝大百科1」では、上記のような説明は疑わしいとして、エビ・カニの体色変化について次のような説明がなされています。
「エビ・カニの甲の色は、主としてアスタキサンチンと呼ばれる赤色系のカロチノイドによるものであるが、タンパク質と結合したカロチノプロテインも少量含まれている。カロチノプロテインは青ないし紫色を呈するが、加熱によって赤色になる。だが、タンパク質との結合が切れて遊離したアスタキサンチンがアスタシンになるためという説明は疑わしい。」
「疑わしい」という表現は、「違う」と決め付けているわけではなさそうです。はっきりとした情報をご存知の方は教えてください。